発行日 2013年3月20日
Published Date 2013/3/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2013182493
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看護師がどのような根拠でがん末期患者の退院支援に取り組むのかを明らかにすることを目的とし、がん末期患者の退院支援に積極的にかかわった経験がある看護師7名を研究参加者とし、半構造的インタビューを行った。グラウンデッド・セオリー・アプローチを参考にデータを分析した結果、看護師が積極的に退院支援に取り組む根拠は、患者が望む過ごし方を支援したいという思いであり、その支援の方法を獲得しているという自覚にあった。しかし、その根拠は看護師の経験過程の中で一貫してあったものではなく、【退院支援に対する認識の変化のプロセス】、【退院支援の方法を獲得していくプロセス】の中で培われたものであった。また、【退院支援に対するやりがい】と【退院支援を支える環境】は看護師の退院支援への取り組みを後押ししていた。看護師ががん末期患者の退院支援への第一歩を踏み出し積極的に取り組めるようになるためには、退院支援を特別な支援としてではなく終末期看護の中の一支援としてとらえ、患者といっしょに現実に向き合いながら考えていくことが重要で、そのためには職場でのサポート体制の強化や在宅療養の社会的支援の整備が必要であることが示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2013