目指せ!肥満症のトータルケア-減量に苦戦する患者について考える 肥満研究最前線
肥満とエピゲノム
酒井 寿郎
1
,
阿部 陽平
,
松村 欣宏
,
稲垣 毅
1東京大学先端科学技術研究センター 代謝医学分野
キーワード:
遺伝子発現調節
,
糖尿病-2型
,
肥満
,
DNAメチル化
,
脂肪細胞
,
遺伝的素因(疾患)
,
生活習慣病
,
PPAR Gamma
,
クロマチンの凝集と分散
,
褐色脂肪細胞
,
脂肪細胞分化
,
エピゲノミクス
,
Vertebrate Iroquois Protein
,
SETDB1 Protein
,
KDM2A Protein
,
Alpha-Ketoglutarate-Dependent Dioxygenase FTO
,
KDM3A Protein
Keyword:
Alpha-Ketoglutarate-Dependent Dioxygenase FTO
,
Diabetes Mellitus, Type 2
,
Gene Expression Regulation
,
Obesity
,
Adipocytes
,
DNA Methylation
,
Genetic Predisposition to Disease
,
Chromatin Assembly and Disassembly
,
PPAR gamma
,
Adipogenesis
,
Adipocytes, Brown
,
Epigenomics
,
SETDB1 Protein, Human
,
KDM3A Protein, Human
,
KDM2A Protein, Human
pp.101-108
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016089673
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肥満に伴う2型糖尿病,高血圧,高脂血症,冠動脈疾患といった生活習慣病やがんなどの多因子疾患の解明は21世紀の生物医学の大きな課題である.これらの疾患は遺伝的素因とともに環境因子も大きく関与する.環境変化などの外来刺激によるDNAやヒストンのメチル化などの化学修飾がエピゲノムとして記録され,細胞分裂を繰り返しても保存される一個体の記憶システムを形成している.エピゲノムは,塩基配列を変えずに遺伝子発現を変える「環境への適応機構」として重要であり,生活習慣病の発症に深く関与していると考えられている.環境や栄養などが,ゲノムを後天的に修飾するエピゲノムを介して,臓器に記憶され,糖尿病などの生活習慣病発症のしやすさや予後の進展を決定する可能性が明らかにされつつある.
©Nankodo Co., Ltd., 2016