目指せ!肥満症のトータルケア-減量に苦戦する患者について考える
肥満とがん:日本人のエビデンス
津金 昌一郎
1
1国立がん研究センターがん予防・検診研究センター
キーワード:
危険因子
,
コホート研究
,
死亡
,
腫瘍
,
肥満
,
やせ
,
EBM
,
BMI
,
発癌
Keyword:
Death
,
Neoplasms
,
Obesity
,
Risk Factors
,
Thinness
,
Cohort Studies
,
Body Mass Index
,
Evidence-Based Medicine
,
Carcinogenesis
pp.109-112
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016089674
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肥満は,食道(腺がん),大腸,肝臓,膵臓,腎臓,乳房(閉経後),子宮体部などの多くの部位のがんのリスクを上げる.日本人においても,大腸,乳房,肝臓のがんに関するエビデンスが揃っている.やせにおいてリスクが増加するがんもある.米国人約90万人のコホート研究では,70%以上を占めるBMI 25以上において,がん死亡リスクとの直線的関連が示されている.日本の7コホート研究の中高年約35万人のプール解析では,何らかのがんによる死亡リスクは,BMI 23以上25未満と比較して,2~3%を占める30~40のグループにおいて約30%の統計学的有意なリスクの増加が示されている.また,BMI 21未満におけるがんや総死亡リスクの増加も顕著である.日本人のがん予防においては,欧米と比較して,肥満対策の効果は小さく,やせ対策も同時に行う必要がある.
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