発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014106935
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63歳男。食事は炭水化物が主体で外出もほとんどしない生活であった。今回、腰痛と両股関節痛を自覚し近医を受診、ALPおよびIntact-PTHの高値にて骨疾患が疑われ、著者らの施設へ紹介となった。所見では著明に高値なALPとintact-PTHほか、骨吸収マーカーであるs-NTx、u-NTx、 BCE/LおよびCrが上昇していた。また、骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)は高値であるもののオステオカルシン(OC)は低値で、1,25(OH)2Dは正常上限、25(OH)Dは著明に低値であった。一方、骨は菲薄化し腰椎L1、L2圧迫骨折を認め、骨シンチでは肩関節、仙腸関節、胸椎、腰椎に多発集積亢進像が認められた。以上より、本症例は骨粗鬆症と骨軟化症の鑑別を要したが、最終的に骨芽細胞の石灰化障害を来したビタミンD欠乏症に伴う骨軟化症と診断された。そこで、alfacalcidolにて治療を開始したところ、intact-PTHとs-NTxは減少し、ALPやBAPも著明に減少した。だが、OCは著しく上昇しており、治療8ヵ月後には腎機能の悪化傾向を認め、alfacalcidolを減量した。その結果、12ヵ月後の大腿骨頸部のBMD、T-scoreの骨密度は大幅に改善し、腰痛も両股関節痛も軽減した。尚、骨軟化症の診断、治療効果の評価ではBAP、OCの両測定が診断に有用であると考えられた。
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