発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014106934
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54歳男。初診2ヵ月前、頭痛に対し解熱鎮痛薬を連用したところ霧視が出現し、近医の眼科で緑内障と診断された。今回、食欲不振をはじめ悪心、嘔吐で腎障害を認めたため近医の内科より著者らの施設へ紹介となった。受診時、2ヵ月間のNSAIDs連用から薬剤性腎障害が疑われ、服用を中止することで食欲不振、悪心、嘔吐は軽快し、左右腎ともほぼ正常となった。だが、皮質エコーレベルが上昇し、あわせて左顔面神経麻痺が出現、約3ヵ月目には左膝伸側に小皮疹ほか、血清Ca濃度や血清Cr値の上昇が認められた。一方、Intact-PTHは低値であったが、PTH-rPは陰性、ACE活性は51.5U/Lであることからサルコイドーシスの存在が疑われた。その後、約6ヵ月経過で両肺門部の異常陰影が認められ、CTを行なったところリンパ節腫脹が認められた。更にガリウムシンチでは肺門部に集積亢進を認めるも、ツ反は陰性であったが、ブドウ膜炎と皮疹の生検で非乾酪性類上皮肉芽腫を認め、両腎には結石が、また右腎には水腎症が認められた。以上より、本症例はサルコイドーシスの診断基準と組織診断群を充たし確定診断となり入院となった。治療としてステロイド投与を開始した結果、血清Ca濃度は低下し、腎機能は血清Cr値2.0mg/dL前後まで改善、水腎症は消失した。
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