発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014106936
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66歳女。両側腎盂水腎症の既往があった。今回、アジの刺身を食した翌日より心窩部から左側腹部にかけて痛みと嘔吐が継続した。3日後に腹痛が増強したため著者らの施設へ受診となった。腹部CTでは小腸粘膜下浮腫がみられ、左右腎盂尿管の拡張と腹水の貯留からアニサキス腸炎を第一に考えられた。そこで、保存的治療が開始されたが、改善は得られず、腹水穿刺を行なうと淡黄色で血性腹水ではなく、ループス腸炎の可能性が考えられた。所見では抗核抗体、抗DNA抗体および抗Sm抗体は陽性で、補体値低値に加え、腹部エコーでは漿膜が正常であるのに対し粘膜が浮腫性になるCorn signが認められた。一方、腹部造影CTでは腸管粘膜、漿膜が造影されるも、粘膜下層が造影されないtarget signが認められた。以上、これらのことから本症例はループス腸炎と診断され、Prednisolone(40mg)による治療を開始、1週間単位で5mgずつ減量した結果、20mgで退院となった。尚、患者は腸管閉塞が解除され、同時に腹水の減量や腹部膨満も改善し、更に水腎症も改善した。尚、目下は外来にてステロイド漸減治療を行い、副作用もなく経過良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2014