発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013260573
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89歳女。3日前より、発熱、水様・頻回の下痢で近医を受診した。点滴加療、Loperamide、lactomin、健胃薬を処方されたが、発熱、腹部膨満、強い腹痛のため紹介となった。腸雑音の減弱、腹部膨満、腹部鼓音の増強および全体に圧痛を認め、血球数、CRP、アルブミン、コレステロールの低下およびKの軽度低下とBNPの軽度上昇を認めた。腹部消化管ガス像の著明な増加、上行結腸~直腸の拡張を認めたが、明らかな閉塞機転はなく、小腸拡張像は軽度で、心肥大、両側胸水を認めたが肺野に浸潤は認めなかった。腸雑音の減弱、CT所見および臨床経過より、麻痺性イレウス、巨大結腸症と診断した。入院時まで内服していたLoperamideによる可能性を考え、絶食、抗生物質の投与、胃管およびガス抜き等を行った。下痢症状があったことから、脱水を考え補液を施行したところ、心不全が悪化したが、加療によりBNPは軽快し、巨大結腸症も徐々に改善を認めた。第30病日に経口摂取可能となり、一時的に改善し結腸拡張の改善も認めたが、食事摂取量が増えないまま、心不全、BNPの悪化により、約4ヵ月半の入院で死亡した。
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