発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013260574
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
70歳代女。高血圧症、脂質異常にて加療中であった。6日前に食欲が低下し嘔吐も出現したため点滴加療を受けたが、食欲不振が続き、突然呼吸困難感を訴えた後、意識状態が悪化し搬送された。Glasgow coma scale E1V1M4で、血圧61/39mmHg、脈拍108/min、体温35.8℃とショック状態であった。腸蠕動音は低下し、呼吸状態は不良で、動脈血酸素飽和度84%であった。気管内挿管したが、胆汁様吐物を大量に噴出した。腎機能障害を認め、CRPは軽度上昇していた。胸部単純CTでは、両側下葉、背側気管支周囲主体に広範な浸潤影と肺野の濃度上昇を認めた。腹部単純CTでは、十二指腸下行脚に約4×3cmの結石があり、口側の十二指腸から胃は拡張し、多量の残渣を認めた。胆嚢構造は不明瞭で胃石もしくは胆石によるイレウスと、それに伴う誤嚥性肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、呼吸障害による脱水と腎前性腎不全と診断した。輸液とmeropenem、sivelestat sodiumを開始したところ、第2病日より排尿を認め腎機能は改善した。第3病日に血小板が急激に減少し凝固線溶系に異常を認めたため、播種性血管内凝固と診断し、nafamostat mesilateを開始した。吸引痰培養によりcandida glabrataが培養され、抗菌薬をmicafungin sodiumに変更したところ、解熱し呼吸循環動態も安定した。第24病日に結石除去術、胆嚢摘出術、胆嚢十二指腸瘻修復術およびTチューブドレナージ術を施行した。術後回復は良好であったが、四肢筋力低下でリハビリ目的に他院に転院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013