震災医療-来るべき日への医療者としての対応
《急性期に対応を要する病態》圧挫症候群
阿南 英明
1
1藤沢市民病院 救命救急センター
キーワード:
コンパートメント症候群
,
挫滅症候群
,
輸血
,
理学的検査
,
Sodium Bicarbonate
,
医療的患者移送
,
災害医学
,
建築物倒壊
,
筋膜切開術
Keyword:
Fasciotomy
,
Blood Transfusion
,
Compartment Syndromes
,
Crush Syndrome
,
Physical Examination
,
Patient Transfer
,
Sodium Bicarbonate
,
Disaster Medicine
,
Structure Collapse
pp.948-951
発行日 2012年12月1日
Published Date 2012/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013059496
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<ポイント>・阪神・淡路大震災で有名になった圧挫症候群は、大地震による建物の倒壊によって身体の一部が長時間重量物に挟まれる状態から救出されたあと、急激に全身状態が悪化し死亡することもある病態である。・上肢よりも筋肉が多い下肢が挟まれることで発症しやすい。・病態としては、まず、長時間の圧迫によって血流が途絶えるため領域の筋細胞が障害される。救出によって血流が再開することでCK、ミオグロビン、K等の筋細胞内容物が急激に流出して、致死性不整脈、急性腎不全を生じる。また、血管透過性が亢進して大量の水分喪失による循環障害を生じる。・救出時から大量の輸液や高K血症対策を行って発症を予防することが重要であり、必要時には透析や集中治療管理ができる体制を組み、被災地外への後方搬送を積極的に考慮すべきである。
©Nankodo Co., Ltd., 2012