発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006036252
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27歳男.乱取り稽古中,右大腿前面を受傷し,直後より起立・歩行不能となり,疼痛は次第に増強した.右大腿前面には著しい腫脹と疼痛がみられ,皮膚は緊満,硬結し,膝関節の自動運動は不能であった.大腿周囲径は左右で7cmの差異がみられた.単純X線では大腿骨に明らかな骨傷はみられなかった.造影CTでは大腿直筋・外側広筋は腫大し,中間広筋内に直径約4cmの著しい血腫形成を認めた.右大腿前方筋区画内圧は86mmHgで,コンパートメント症候群と診断し,受傷後28時間の時点で筋膜切開,血腫除去術を行った.切開すると外側広筋は著しく膨隆しており,中間広筋内部からは多量の血腫が噴出した.術後,右大腿前方筋区画内圧は28mmHgと正常化した.大腿部外傷の診察の際にはコンパートメント症候群も念頭に置き,コンパートメント症候群が疑われる場合にはコンパートメント内圧の測定が重要と思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2005