発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012220179
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
27歳女。妊娠4ヵ月で、持続する発熱、倦怠感を呈し、著明な肝機能障害を認めたため紹介入院となった。白血球は正常であったが、異型リンパ球、単球が増加し、肝機能検査でAST、ALTの異常高値、凝固系PT、APTT、CRPの異常を認めた。補液を中心に全身管理を行い、発熱に消炎剤で対処した。腹部エコーでは、若干の肝腫大、脾腫を認めるのみで胎児に異常所見は認めなかった。感染症検査では、B型・C型・A型肝炎、EBウイルス、サイトメガロウイルス感染は否定された。第3病日に流産となった。胎盤・臍帯の病理所見より、胎盤実質に好中球の集簇からなる膿瘍形成が散見された。第5病日に静脈血培養からListeria monocytogenesが判明し、肝リステリア症と診断した。抗生物質をampicillinに変更し、母体の肝機能異常は改善し、解熱傾向を認めた。経過順調で第9病日にはCRP、AST、ALT、WBCも正常化した。抗生物質は退院後1ヵ月継続投与し完全除菌を確認した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012