発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012220178
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
64歳女。左顎下部の腫脹を主訴に受診し、耳鼻咽喉科にてIgG4関連疾患を疑われ当科紹介となった。両顎下腺の腫脹、甲状腺の腫大は弾性硬、表面不整、好酸球ならびに異型リンパ球の増加を認めた。血清アミラーゼの軽度高値、総蛋白値、IgG値の上昇およびIgG4の高値を認めた。甲状腺自己抗体は弱陽性であったが甲状腺機能は正常で、抗核抗体、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体は陰性で、空腹時血糖は高値であった。頸部MRIでは顎下腺の腫大、生検ではIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めた。IL-2R高値より悪性リンパ腫の可能性も考えられた。PET・CTでは、両側顎下腺にFDGの強い集積、脾臓の頭部から尾部に断続的腫大と強い集積、両側頸部、縦隔、肺門リンパ節に淡い集積、ERCPで膵体部の枯れ枝状狭窄を認め、糖尿病慢性合併症を伴う自己免疫性膵炎(AIP)と診断した。ステロイド治療は行わず、経過観察を行ったところ、IgG4値は徐々に低下し、顎下部の腫脹は自然縮小し、糖尿病も自然軽快した。初診後2年3ヵ月のCTで膵腫大は消失したが、HbA1c値は正常化しなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012