発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016308000
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症例は76歳男性で、66歳時に第2胸椎以下の脊髄空洞症のため空洞短絡術を受けたが、下肢の麻痺のため車椅子の生活で、しびれが下肢を中心にあった。咳嗽、喀痰を自覚し、漸次悪化がみられた。労作時に呼吸困難を自覚、さらに喘鳴も出現し、粘稠な痰や軽度の血液の混じた喀痰を自覚した。胸部CT像では、両側下葉気管支を中心に気管支拡張と気管支壁の肥厚を認め、右上・中葉・左上葉にスリガラス影、中下葉間の胸膜肥厚がみられた。また、縦隔リンパ節の腫大がみられた。約2ヵ月の経過で気管支炎を伴う気管支喘息を合併したものと考え、ツロブテロール貼付剤を開始した。咳嗽の頻度や喀痰は漸次減少し、呼吸困難感も軽減した。第34病日から心窩部を中心に腹痛が強くなった。第39病日に上部消化管内視鏡検査を行い、慢性好酸球性肺炎(CEP)を伴う好酸球性胃腸炎(EGE)と診断した。プレドニゾロンの開始により、腹痛は漸次減少、咳嗽、喀痰、血痰、呼吸困難が概ね消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2016