発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009234170
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31歳女。患者は2ヵ月前から7.5kgの体重減少があったが放置していた。今回、突然腹痛および悪心・嘔吐が出現し、意識障害も出現して救急受診となった。所見では血糖高値、尿中ケトン体強陽性、著明なアシドーシスを認め、糖尿病性ケトアシドーシスと診断された。一方、グルカゴン1mg負荷試験では血清CPRの反応が消失しており、尿中CPR排泄も著減していたことからインスリン依存性の二次糖尿病と考えられた。また、肝線維化、心機能障害、下垂体前葉機能低下症、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を伴っており、腹部CTでは肝臓、膵臓、脾臓のCT値が正常より高く、鉄沈着が疑われた。尚、肝生検では肝臓細胞内にはび漫性に褐色の色素沈着が認められ、ベルリンブルー染色で染色された。輸血や鉄剤投与歴がなく、両親が従兄弟婚であることにより、原発性ヘモクロマトーシスと診断され、糖尿病性ケトアシドーシスに対しては食事療法と強化インスリン療法を、原発性ヘモクロマトーシスに対しては瀉血療法を行い、患者は目下、改善傾向にある。
©Nankodo Co., Ltd., 2009