発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009234171
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54歳男。患者はアルコール性肝硬変の既往があり、また、当時の上部消化管内視鏡では胃体部小彎側に毛細血管拡張を認めるも、胃前庭部に異常はなかった。今回、意識障害を主訴とし、所見では著明な低色素性貧血、肝機能障害、腎機能障害をはじめ高アンモニア血症、低血糖、代謝性アシドーシスが認められた。そこで、輸血、ブドウ糖・分枝鎖アミノ酸製剤投与が開始されたところ、第4病日目には意識はほぼ清明となった。だが、第6病日目の上部消化管内視鏡では胃前庭部に毛細血管拡張の散在が認められ、diffuse antral vascular ectasia(DAVE)と診断された。幽門洞には凝血塊の付着がみられ、これを除去すると滲出性の出血が認められた。対処としてアルゴンプラズマ凝固法(APC)で止血を行なった結果、第14病日には瘢痕は潰瘍化したものの、第20病日から貧血が徐々に増悪し、DAVEからの再出血が確認された。以後、再度のAPCによる止血が行なわれ、貧血は増悪は認めず、患者は第50病日目に独歩退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009