発行日 2009年4月1日
Published Date 2009/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009171903
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77歳女、嘔気、食欲不振を主訴とした。約1ヵ月前より食欲不振が続き、骨折による入院中も改善なく、徐々に意識障害が出現した。血液検査では希釈性の低Na血症を呈し、血清cortisol正常より、バソプレッシン分泌異常症と診断して治療を開始したが、食欲低下と低Na血症は改善せず、ホルモン再検査にて副腎不全を認めた。下垂体負荷試験の結果、GH・TSHは下垂体性、副腎系については視床下部性の障害を疑う所見であり、頭部MRI検査では下垂体茎の腫大や偏位は認めず、empty sellaであった。hydrocortisone補充後、嘔気は消失し、低Na血症の再発もないが、副腎不全は続いている。臨床経過から副腎不全が疑われる症例では、ストレス除去後にcortisol再検査、尿中cortisol定量や負荷検査を積極的に行うべきと思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009