発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009052489
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28歳男性。患者は10年前より度々腹痛、嘔吐、下痢症状があり、今回も腹痛、水様性下痢、血性物を混じた嘔吐が生じ、入院となった。所見では腹部は平坦、臍部を中心に圧痛があり、筋性防御と反跳痛が認められた。また、白血球数増加、CRP高値が認められ、CTでは小腸の非連続性肥厚と腸間膜脂肪織のdensity上昇がみられた。以上より、本症例はCrohn病の急性増悪が疑われ、絶飲食、補液、抗生物質による保存的治療を開始したが腹痛は持続し、翌日に行なわれたCTで右下腹部小腸壁近傍にfree airが認められた。消化管穿孔を来したCrohn病による汎発性腹膜炎と考え、開腹手術を行なったところ、回腸に小さな穿孔部、Douglas窩と右横隔膜下に膿性腹水が確認された。切除標本では、ほぼ全長にわたって腸間膜側に縦走潰瘍が存在しており、標本中央の潰瘍部には10×7mmの穿孔が認められた。病理所見では粘膜固有層から筋層にかけて全層性の炎症細胞浸潤と非乾酪性の小型類上皮肉芽腫の形成があり、最終的にCrohn病と診断された。
©Nankodo Co., Ltd., 2008