発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009052490
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77歳女性。患者は5年前に腹部腫瘤の生検でB細胞リンパ腫と診断され、化学療法で寛解した。今回、認知症が急速に進行し、脳MRIで脳室に4cm大の腫瘤が認められ、更に可溶性IL-2Rの上昇からリンパ腫の中枢神経系(CNS)再発と診断し入院となった。所見では口渇・多飲・多尿から尿崩症の合併が認められ、desmopressin点鼻が開始された。また、入院第3病日目より痙攣発作の予防にバルプロ酸、dexamethasoneが投与され、あわせてCNSリンパ腫に全脳照射が行われた。脳の腫瘤が消失したため退院となったが、退院後、外来受診時に強い黄疸が認められ、腹部超音波が行なわれるも胆管の拡張は認めず、血液検査でもA・B・C型肝炎が否定された。そこで、薬剤性肝障害を疑い、バルプロ酸を中止し、再入院時からウルソデオキシコール酸の投与を開始した結果、入院前日のtotal bilirubinは44.7mg/dlをピークにし、以後は急速に軽減、肝障害も改善を認め、退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008