発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011306520
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
60歳女。咽頭痛を主訴に受診し、口唇、舌、咽頭に多発する潰瘍を指摘され、プレドニソロンの経口投与を開始された。口唇、舌の潰瘍は消失したが、両側咽頭披裂部の潰瘍、咽頭痛が持続するため、Crohn病が疑われて紹介受診となった。軽度炎症所見は認めるがアルブミン低下はなく、大腸内視鏡検査で回腸に多発性の縦走潰瘍、上部消化管内視鏡検査では両側咽頭披裂部に多発性のアフタ性潰瘍を認めた。小腸造影では、回腸に縦走潰瘍を認めた。回腸、結腸、胃、十二指腸の生検組織では、潰瘍と再生上皮、炎症細胞浸潤を認め、類上皮肉芽腫は確認できなかったが、消化管病変の所見からCrohn病と診断した。メサラジンを投与したが咽頭痛は改善せず、インフリキシマブの投与を追加した。咽頭痛は翌日に軽快し、インフリキシマブ投与8週間後の上部内視鏡検査で咽頭潰瘍は消失していた。回腸の潰瘍も瘢痕化し、大腸のびらん、潰瘍は焼失していた。また、CRP、白血球数も正常化した。難治性の口内潰瘍はCrohn病の可能性があり、積極的に消化管検査を行ったほうが良いと思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011