発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013191383
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症例は41歳男性で、約3年9ヵ月前より腹痛、下痢を認めていたが放置していた。今回症状が漸次増強し発熱も伴ったため受診となり、イレウスと診断され入院となった。初診時、炎症症状、貧血が認められたものの腫瘍マーカーは正常範囲内であった。腹部CTで下部回腸に狭窄部を認め、イレウス管造影で同部の口側に区域性の敷石様粘膜、腸間膜付着側の縦走潰瘍および部分的な管腔の狭小化が認められた。大腸内視鏡検査で縦走潰瘍瘢痕とバウヒン弁が萎縮様に変形しているのが認められたものの、上部消化管内視鏡検査では食道から十二指腸下行部まで異常は認めず、小腸大腸型Crohn病(CD)で瘢痕狭窄のためのイレウスと診断した。回盲部切除術を施行したところ、回腸終末部より20cm口側の狭窄部には全周性の腫瘤が認められた。腫瘤は高分化腺癌であり漿膜下層に浸潤しているのを認め、癌部近傍にdysplasiaも認めた。腸間膜リンパ節には転移はなく、非癌部の回腸では小型の非乾酪性肉芽腫を認め、CD併発の2型回腸癌と確診した。術後TS-1の投与により術後2年で再発はなく、CDについてはmesalazineおよび免疫調整薬投与で治療中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2013