発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006186507
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
26歳女.バセドウ病に対するチアマゾール内服後に突然著明な全身倦怠感が出現した.一般生化学検査所見で食後血糖値の低値を認めたが,それ以外は異常を認めなかった.血糖日内変動で午後10時に低血糖を認め,この時に全身倦怠感や胃部不快感が出現した.75gブドウ糖負荷試験では負荷後30分で血中インスリンが高値であり,その後も高値が持続した.負荷後180分での血糖値は低値であり,この時も同様の症状を認めた.内分泌学的検査では甲状腺機能はチアマゾール内服にて軽度低下状態で,GH・副腎系には異常を認めなかった.IRMA法の血中インスリンは高値であり,尿中Cペプチドは低値,抗インスリン抗体は高力価陽性であった.インスリン自己免疫症候群と診断し,チアマゾールを中止しpropylthiouracilに変更した.チアマゾール中止後8週目にはインスリン自己抗体価は陰性化し,尿中CPRも改善した.また,甲状腺機能もチアマゾール中止後8週目に正常化し,コントロールは良好であった.その後,患者希望により外科的治療を行い,現在まで経過良好である
©Nankodo Co., Ltd., 2006