発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006186506
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68歳男.脳梗塞後の経管栄養の方法として経胃瘻的空腸カテーテルを行なっていたところ,意識障害,痙攣発作が出現した.MRI所見上脳梗塞の再発は否定的であり,入院後,痙攣発作は消失したが,刺激に対する反応の低下や不穏を呈することがあった.また,心房細動の発作性頻拍が時折出現し,verapamilとβ遮断薬を投与したが,反応の低下や不穏を呈する頻度が増加した.低血糖症状を疑い血糖値を測定したところ,不穏時の低血糖が判明し,低血糖を来たした時刻が経管栄養実施後であることから,ダンピング症候群も示唆された.更に,経管栄養実施後の著明な高インスリン血症と血糖値の急激な低下も認めた.低血糖時のインスリン拮抗ホルモンの測定では,下垂体・副腎皮質系や甲状腺機能は保たれており,腹部造影CTでインスリノーマも否定的であった.後期ダンピング症候群による低血糖反応と診断し,経管栄養の1回投与時間を2時間から4時間に延長した.高インスリン血症や低血糖症状は改善し,第38病日に退院となった
©Nankodo Co., Ltd., 2006