発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006131498
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大動脈弁閉鎖不全症の病態を考える際,大動脈弁を大動脈弁複合体として考えることが重要である.慢性大動脈弁閉鎖不全症は,左室に容量および圧負荷がかかる病態で,高度大動脈弁逆流を放置すると,遠心性肥大を起こし,さらに進行すると壁運動低下を生じる.高度大動脈弁逆流であっても長期にわたり無症状であるが,術前の左室壁運動や左室の大きさが術後の予後を左右するため,心エコー検査などを定期的にフォローし,手術時期を逸さないようにすることが重要である.心エコー検査による弁の形態診断,重症度診断,逆流に伴う心負荷の程度の診断に加え,患者の年齢,日常生活の活動度,予想される人工弁耐久年数などから総合的に判断し,各症例の一生涯を見据えたうえで,手術適応・時期・術式などを決定していく必要がある
©Nankodo Co., Ltd., 2006