発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2003200427
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33歳男.発熱,左背部痛,左下腹部痛を主訴とした.画像所見で左胸水貯留,左後縦隔下部に腫瘤を認めた.臨床経過と手術所見,病理所見から,第9肋間神経原発の神経鞘腫とそれに関連した炎症症候と考えられたが,胸水と高度な炎症を伴っていた為,画像診断で肺膿瘍や被包された膿胸との鑑別が困難であった.本例のように高度な急性炎症症状で呈した報告は極めて稀で,検索した限りでは,Dilkesらの傍咽頭神経鞘腫のみであった.初診時,前医により既に抗生物質が投与されていたこともあり,細菌学検査で感染症の合併を証明することはできなかったが,初発症状が発熱と左下腹部痛で左尿管結石を認めたことから,この時,尿路性敗血症となり,菌血症によって神経鞘腫内に膿瘍が出現した可能性がある.肺炎,膿瘍の合併は否定できないが,手術時にこれらの所見は認められず,胸水に関しては腫瘍の炎症に随伴した反応性の病変の可能性がある
©Nankodo Co., Ltd., 2003