発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2003164396
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62歳男.黒色便を主訴とし精査目的で入院した.消化管内視鏡検査で米粒大のポリープ2個と淡血性の前処置液の貯留を認めるほかに異常はなかった.小腸X線で,下部空腸に隆起性病変が疑われ,ゾンデ法で同部に40×25mmの表面平滑な隆起性病変を確認し,空腸粘膜下腫瘍と診断した.腫瘤の約4cm口側の空腸を切開し内視鏡を挿入し,術中内視鏡検査を行った.腫瘤は正常粘膜に覆われた粘膜下腫瘍であることを確認したが,出血点は明らかではなかった.次いで腫瘤の約3cm肛門側で空腸を切除し,端々縫合を行い手術を終了した.切除標本の肉眼所見では,管腔外および管腔内に発育しダンベル状を呈し,空腸内部に発育した腫瘍の肛門よりにはびらんを認め,出血源と思われた.HE染色では,紡錘形の腫瘍細胞が束状に交錯しながら増殖していた.免疫染色では,CD34陰性,c-kit陰性,S-100タンパク陽性,アクチン陰性であり,良性の神経鞘腫と診断した
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