発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017399260
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頸椎全域の手術例73例(男性44例、女性29例、平均年齢62.1歳)を対象に、椎骨動脈の骨外・骨外走行異常を評価した。その結果、椎骨動脈の骨外・骨内走行異常は全体で35例(48%)に認められ、責任病巣が上位頸椎に存在する症例(上位群)では61%(20/33例)、中下位頸椎に存在する症例(中下位群)では38%(15/40例)に認められた。特に上位群では骨内走行異常が52%と高頻度であり、実際に頸椎後方インストゥルメンテーション手術でC2に椎弓根スクリューを安全に刺入できない頻度が高く、術前に三次元的評価を行ってVA損傷を防ぐ対策を講じる必要性があると考えられた。中下位群でも骨内走行異常を25%に認めたため、C2を固定範囲に含む場合は術前評価を行い、至適なアンカーの設置を検討する必要があると考えられた。また、骨内走行異常は骨変化を先天的にきたすKlippel-Feil症候群で50%(1/2例)、後天的にきたすRA、化膿性脊椎炎では57%(8/17例)と高率にみられた。その他疾患における頻度は32%(18/57例)で、その中で最も多かった循環器疾患で39%(11/28例)、糖尿病にも32%(6/19例)に骨内走行異常がみられた。
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