運動器疾患の画像診断
CT診断 血流の評価 頸椎手術における三次元CT血管造影法を用いた椎骨動脈および脳底動脈への側副血行の術前評価 致死的椎骨動脈損傷を回避するために
佐野 敦樹
1
,
平野 徹
,
渡邊 慶
,
和泉 智博
,
遠藤 直人
,
伊藤 拓緯
1新潟大学 大学院整形外科
キーワード:
環軸関節
,
関節リウマチ
,
頸椎
,
血液循環
,
術前診断
,
脊椎損傷
,
側副循環
,
椎骨動脈
,
脳底動脈
,
後縦靱帯骨化症
,
CT血管造影
,
頸椎症性脊髄症
,
環軸椎不安定性
Keyword:
Computed Tomography Angiography
,
Arthritis, Rheumatoid
,
Basilar Artery
,
Blood Circulation
,
Atlanto-Axial Joint
,
Cervical Vertebrae
,
Collateral Circulation
,
Spinal Injuries
,
Vertebral Artery
,
Ossification of Posterior Longitudinal Ligament
pp.44-47
発行日 2012年10月25日
Published Date 2012/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2013043378
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環軸関節貫通スクリューや頸椎椎弓根スクリューなどを用いる頸椎インストゥルメンテーション手術において、椎骨動脈(VA)損傷は最も注意すべき合併症である。また、近年では無症候性の外傷性VA両側閉塞例も報告されており、このような症例では内頸動脈からの側副血行[後交通動脈(PCOM)および後大脳動脈の第1セグメント(P1)]を介して脳底動脈への血流が供給されている。当科では、VA損傷をきたしうる頸椎手術例に対して2008年から術前3次元CT血管造影を施行してきた。今回、2011年までに施行した73例の造影画像をもとに、VAの走行状態と、万が一VAが損傷された際に側副血行路となりうるPCOMおよびP1の開存状態について調査し、以下の結果を得た。1)VAの走行異常を34%の症例に認めた。2)両側ともPCOM-P1が開存しない、いわゆるWillis動脈輪形成不全症を56%に認めた。3)VAに左右差があり、かつ両側ともPCOM-P1が開存しない症例(医原性VA損傷を生じた場合に致死的な脳虚血障害をきたす危険性のある症例)が3%存在した。
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