臨床室
肘頭粉砕骨折後の変形癒合に対して尺骨鉤状突起anteromedial facetの骨切り術を行った1例
小泉 雅裕
1
,
倉石 達也
,
大塚 寛
,
荒井 勝光
,
保坂 登
,
村山 敬之
1新潟県立中央病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
骨切り術
,
内固定法
,
骨板
,
骨ワイヤー
,
尺骨骨折
,
骨折-粉砕
,
変形治癒骨折
,
三次元イメージング
,
肘頭突起
Keyword:
Bone Plates
,
Bone Wires
,
Fracture Fixation, Internal
,
Osteotomy
,
Radiography
,
Ulna Fractures
,
Fractures, Malunited
,
Fractures, Comminuted
,
Imaging, Three-Dimensional
,
Olecranon Process
pp.119-124
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017143374
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症例は50歳男性で、スケートリンクで転倒し、左手をついて橈骨遠位端骨折と肘頭粉砕骨折を受傷した。単純X線像で肘頭粉砕骨折に伴う鉤状突起骨折とanteromedial facetの転位があった。3D-CTでは肘頭骨折で鉤状突起は多骨片に粉砕していた。受傷後3日、肘頭骨折に対して観血的骨折手術を施行した。術後2週より可動域(ROM)訓練を開始したが、3週でanteromedial facetの転位がわずかにみられたため、その後2週は外固定を追加した。しかし骨片の転位はすすみ、術後8ヵ月でプレートとワイヤーを抜去したがanteromedial facetは変形癒合した。3D-CTではanteromedial facetが近位内側に転位したため、上腕骨滑車がその隙間にはまり込むように亜脱臼していた。長期のリハビリテーションでも肘関節ROM制限は改善せず、骨切り術を計画した。術後は約6週間ギプス固定を施行し、その後肘関節自動ROM訓練を開始した。術後尺骨神経麻痺が発生したが、症状は軽快中で経過観察中である。
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