経験と考察
臼蓋形成不全股におけるcrossover signと臼蓋被覆の関係
小山 博史
1
,
星野 裕信
,
花田 充
,
古橋 弘基
,
中村 光志
,
松山 幸弘
1浜松医科大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
寛骨臼
,
大腿骨頭壊死
,
年齢因子
,
臼蓋形成不全
,
骨盤傾斜
Keyword:
Acetabulum
,
Age Factors
,
Femur Head Necrosis
,
Radiography
pp.620-623
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015335333
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単純X線正面像にて発育性股関節形成不全(DDH)、または特発性大腿骨頭壊死(stage 1~2)と診断されたcenter-edge(CE)角25度未満の41例71股(男性3例、女性38例、年齢16~73歳、平均年齢36歳)を対象に、crossover sign(COS)と臼蓋被覆量の関係について検討した。その結果、1)DDH群の平均年齢はCOS陽性群(20股)で28歳、COS陰性群(27股)で39歳と、COS陽性群が有意に若年であった。だが、骨盤前・後傾、全ての領域での臼蓋被覆率では有意差は認められなかった。2)COS陽性群の臼蓋被覆率は全体が67.6%に続いて、A1/2が61.2%、P1/2が74.1%、ALが26.3%、PLが26.2%であった。一方、COS陰性群では全体が63.4%、A1/2が60.1%、P1/2が78.8%、ALが26.0%、PLが57.5%であった。3)borderline DDH群(COS陽性群5股、陰性群19股)でもCOS陽性群は有意に若年であった。前方と後方の臼蓋被覆率の関係ではDDH群はA1/2とP1/2に相関が認められたが、borderline DDH群ではCOS陽性群と陰性19股のA1/2とP1/2に相関は認められなかった。尚、ALとPLの間にはDDH群、borderline DDH群ともに正の相関がみられ、ALが大きい症例ほどPLも大きかったが、COSの有無で比較するとborderline DDH群ではALの大きさに関わらずCOS陽性群のPLは小さかった。
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