臨床室
胸腺癌の胸膜播種巣から直接浸潤により胸髄損傷をきたした1例
桑野 剛英
1
,
鈴木 賀代
,
安田 剛敏
,
渡邉 健太
,
金森 昌彦
,
木村 友厚
1富山大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
胸腺腫瘍
,
胸膜腫瘍
,
抗腫瘍剤
,
MRI
,
腫瘍侵入性
,
腫瘍播種
,
脊髄損傷
,
脊椎固定術
,
脊椎腫瘍
,
椎弓切除術
Keyword:
Antineoplastic Agents
,
Neoplasm Seeding
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Laminectomy
,
Neoplasm Invasiveness
,
Radiography
,
Pleural Neoplasms
,
Spinal Fusion
,
Spinal Neoplasms
,
Spinal Cord Injuries
,
Thymus Neoplasms
pp.531-534
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015285022
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54歳女。両下肢筋力低下を主訴とした。3年6ヵ月前に前縦隔に生じた胸腺癌に対して胸腔鏡下胸腺摘出術と術後化学療法を行ったが、術後1年6ヵ月で胸膜播種を認め、術後3年4ヵ月で背部痛、両下肢のしびれと筋力低下が出現した。Frankel分類CのTh6不全損傷と判断した。また、画像所見では胸膜播種、気管前リンパ節転移、胸椎への転移を認めた。さらに、胸髄損傷をきたしたTh6高位では、胸膜播種から椎体への直接浸潤と、脊柱管内に形成された硬膜外腫瘍による脊髄圧迫が認められた。以上から。胸腺癌の胸膜播種巣から肋骨、Th6椎体への直接浸潤による胸髄不全損傷と診断した。Th5-Th6椎弓切除、Th4~Th8後方固定術と術後化学療法、放射線治療を行った。術後は徐々に麻痺が改善し、術後2週で平行棒内での立位が可能となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2015