臨床室
観血的整復を要した外傷性胸鎖関節後方脱臼の1例
三嶋 信太郎
1
,
加藤 有紀
,
關 雅之
,
植松 義直
,
徳橋 泰明
1日本大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
関節可動域
,
胸鎖関節
,
MRI
,
脱臼
,
三次元イメージング
,
靱帯形成術
Keyword:
Joint Dislocations
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
,
Sternoclavicular Joint
,
Range of Motion, Articular
,
Imaging, Three-Dimensional
pp.432-435
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015265140
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13歳男児。運動会のムカデ競争で転倒、他人が背中から覆い被さってきて受傷となった。同日近医にて右胸鎖関節脱臼の疑いと診断され、翌日、著者らの施設へ紹介となった。所見では単純X線像では明らかな異常はみられなかったが、右の鎖骨が軽度下方に偏位していた。また、胸部CTでは右鎖骨が胸鎖関節後方に落ち込んでおり、3D-CTでは右鎖骨が後方に脱臼した所見がみられた。一方、周辺組織への圧迫や損傷の確認のため胸部MRIを施行したところ、後方へ脱臼した右鎖骨が鎖骨下静脈を軽度圧迫していた。だが、その他の血管や気管、食道、肺実質への損傷は認めなかった。以上、これらの所見から本症例は重症な周辺組織損傷のない右胸鎖関節後方脱臼と診断して、受傷後13日目に観血的整復施行となった。術中所見では右鎖骨近位を露出すると近位端は後方脱臼し落ち込んでおり、関節円板を含む靱帯成分が胸鎖関節に介在していた。そこで、その靱帯成分を鎖骨骨軸方向に切開して関節円板を切除後、鎖骨近位端を骨鉗子で把持し引っ張り上げた。その結果、術後の単純X線像では整復位は良好で、CTでも同様に確認することができた。以後、術後3週から肩関節内・外旋の自動運動を開始、8週から全ての運動を許可し、目下は可動域制限はなくテニス競技に復帰している。
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