発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012156563
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腱板断裂を伴う変形性肩関節症に対し、前方の肩甲下筋の切離を必要としない上方アプローチで手術を施行した4例(女・72~81歳)について報告した。術式は人工肩関節全置換術(TSA)2例、人工骨頭置換術(HHR)2例であった。肩峰外縁より1cm外側に平行に皮切を加え、三角筋前方-中央線維間を分け肩峰下腔に達し、三角筋の肩峰付着部は骨膜下に肩峰から剥離した。上腕骨頭を骨切りした後、TSA例では関節窩・上腕骨インプラントを置換・挿入した。腱板断裂を比較的容易に修復できた中断裂の1例と大断裂の1例は、烏口肩峰靱帯を切離し肩峰形成後TSAを行った。広範囲断裂の2例は烏口肩峰アーチを温存したままHHRを施行した。術後3~12ヵ月で、日整会肩関節疾患治療成績判定基準(JOAスコア)はTSA施行2例がそれぞれ88点、92点と改善し、HHR施行1例も80点となった。他のHHR例は三角筋断裂も合併しており、術後可動域の改善が不良で、JOAスコア69点であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012