経験と考察
特発性側彎症後方固定術におけるバイポーラシーラーの有用性
中村 直行
1
,
上杉 昌章
1神奈川県立こども医療センター 整形外科
キーワード:
骨セメント
,
脊柱側彎症
,
脊椎固定術
,
失血-外科
Keyword:
Bone Cements
,
Scoliosis
,
Spinal Fusion
,
Blood Loss, Surgical
pp.611-613
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014367649
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特発性側彎症に対し脊椎後方矯正固定術を施行した22例を対象とし、バイポーラシーラー導入前の10例(A群)、導入後の12例(B群)に分け比較した。術式はCotrel-Dubousset法で、固定最尾側2椎のみpolyaxial screwを使用し、他はフックを使用した。検討項目は固定椎間数、手術時間、主カーブ矯正率、術中総出血量、1椎間あたりの出血量、腸骨採取の有無、術後合併症とした。その結果、術中総出血量および1椎間あたりの出血量に有意差を認め、いずれもB群で少なかった。腸骨採取による出血量への影響を調査したところ、採取群において固定椎間数が有意に多かったが、総出血量や1椎間あたりの出血量は採取群と非採取群間で有意差はなかった。術後合併症は、A群で下肢静脈血栓症、術後一過性両下肢不全麻痺を各1例認めたが、いずれも回復した。以上、特発性側彎症に対する脊椎後方矯正固定術において、バイポーラシーラーの使用は術中止血に有用であると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2014