発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010269561
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症例は79歳女性で、発熱と両下肢脱力が出現し、徐々に増悪したため受診し、対麻痺を認めたため入院した。両下肢の徒手筋力テスト(MMT)が3と低下し、Th10以下の知覚鈍麻と膀胱直腸障害を認めた。腱反射は両下肢とも消失し、血液検査で軽度貧血と炎症反応を認めるのみであった。胸椎単純X線ではTh6/Th7椎間板腔に狭小化と後彎変形を認めたため、化膿性脊椎炎を疑った。MRI矢状断像ではT1強調画像でTh6、Th7が低輝度を示し、椎間板腔が消失し、T2強調画像で同部位に高輝度を示した。入院時、胸部X線像で右肺野に結節状陰影を認めたため、呼吸器科で精査し、粟粒結核の疑いであった。全身麻酔下に病巣掻爬と前方固定術を施行した。肋骨移植を行い、ストレプトマイシン(SM)を溶かして塗布した。術後、イソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)、SM、ピラジナミト(PZA)の4剤による化学療法を2ヵ月行い、その後、PZAを除いた3剤で4ヵ月間継続し治癒した。した。術後2年、胸椎単純X線像で当該椎間は強直し後彎変形は進行しておらず、排尿障害はなく、自立歩行が可能となった。
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