臨床室
One bone forearmによる再建を施行した橈骨遠位部発生骨肉腫の1例
和佐 潤志
1
,
片桐 浩久
,
中川 雅裕
,
村田 秀樹
,
保坂 聖一
,
高橋 満
1静岡県立静岡がんセンター 整形外科
キーワード:
X線診断
,
骨肉腫
,
MRI
,
橈骨
,
腓骨
,
ネオアジュバント療法
,
血管柄付き骨移植
Keyword:
Fibula
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
,
Radius
,
Osteosarcoma
,
Neoadjuvant Therapy
pp.1273-1276
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014009492
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症例は15歳男児で、打撲を契機に左手関節痛と腫脹が出現し、近医にて外傷後の血腫として経過観察されるも症状は増悪し、受傷後3ヵ月目の単純X線で橈骨遠位部の骨異常陰影を指摘され、当科紹介となった。初診時MRI横断像では全周性に橈骨骨外に進展する病変を認め、冠状断で腫瘍最大径は10cmにおよび、病変の最遠位部は近位手根骨列まで達した。切開生検より骨外進展を伴う橈骨遠位部骨肉腫と診断し、術前化学療法施行後に広範切除術を予定した。手術は骨外腫瘍と接している深指屈筋、長母指屈筋、長・短母指伸筋、長母指外転筋、橈側手根屈筋、長・短橈側手根伸筋は腫瘍と合併切除し、再建は血管柄付き腓骨を利用したone bone forearm法で行った。術後経過は良好で、術後6ヵ月で骨癒合が得られ、術後3年半が経過した現在、再発・転移は認めない。また、肘関節内外反ストレステストでは不安定性はなく、日常生活上も疼痛はみられず、前腕回内は10°、回外は90°可能で、MSTSスコアは80%、TESスコアは63%である。
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