発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014007156
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79歳女。6ヵ月前に左小指指腹部の皮下硬結を自覚し、疼痛とともに徐々に増大したため受診した。単純X線像とCTでは小指掌側皮下に分葉状石灰沈着像を認め、MRIで腫瘤はT1強調画像で低信号、T2強調画像では内部が不均一な等信号を呈した。手指硬化、Raynaud現象、頸部毛細血管拡張、逆流性食道炎による食道蠕動運動障害を認めた。四肢末端に限局する限局性強皮症の一型であるCREST症候群に伴った手指calcinosis circumscriptaと診断し、手術を行った。小指掌側進入で皮膚を愛護的に分けると、腫瘤は白色ペースト状組織で、これを摘出した。病理組織所見では、虫卵様の変性した石灰化物による結節を認め、周囲に線維組織による被殻構造を有する異物型巨細胞性肉芽腫を認めた。指腹部に部分表層壊死が生じたが、壊死部切除後、皮膚は治癒した。術後7ヵ月で日常生活動作に支障はなく、腫瘍の再発を認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013