発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013350492
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57歳男。特に誘因なく右肩甲帯部から右手中指~小指にかけてのしびれ感が出現した。頸椎牽引治療を2~3週間にわたって受けたが症状はむしろ増強した。右手の背側骨間筋に著明な筋萎縮を認めた。右肩甲部~右上腕・前腕尺側にかけて知覚過敏を認め、右手尺側に知覚鈍麻を認めた。深部腱反射は右上腕二頭筋は正常であったが、腕橈骨筋・上腕三頭筋は減弱していた。右鎖骨上窩にわずかに腫脹・圧痛を認めた。右上眼瞼の下垂を認めた。一側の上肢症状と同側のHorner徴候をきたしたものと考え、Pancoast腫瘍を疑った。経気管支鏡的生検の結果は低分化型扁平上皮癌であった。全身検査で遠隔臓器への転移を認め、T4N2M1a、stage IVと診断した。放射線治療と化学療法が導入され、現在も保存的治療を受けている。
©Nankodo Co., Ltd., 2013