発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013081453
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63歳女性。両手に荷物を持ちながら廊下で滑って転倒直後から右股関節痛が出現、歩行不能となり救急搬送された。初診時、単純X線像では大腿骨頭の外側への転位と寛骨臼辺縁部の骨折があり、大腿骨頭は前方へ脱臼し、寛骨臼前縁の骨片が確認できた。また、3D-CTでは内側は腸恥隆起、外側は下前腸骨棘の基部内側に各々骨折線があり、それらの骨折線に挟まれるように臼蓋前面に3×2cmの骨片が認められた。以上、これら所見から本症例は右股関節前方脱臼+寛骨臼骨折と診断、直ちに静脈麻酔下に徒手整復術が施行された。右下肢を外転・外旋位で牽引後、内旋することで容易に整復位が得られたが、寛骨臼骨折のため下肢外旋にて容易に再脱臼するため鋼線牽引で整復位を保持した。以後、受傷から13日目に手術が行われたが、術中所見では寛骨臼蓋前面には約3×2cm大の骨片が約2cm前方に転位して存在、その外側には1×2cmの骨片が外側後方に転位しており、これを可及的に整復後プレート固定した。その結果、術後2週から関節可動域訓練および右下肢免荷で起立訓練を開始し、術後3ヵ月で独歩可能となり、術後9ヵ月経過時点で骨癒合が得られた。目下は関節症性変化は認められていない。
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