脊椎疾患における鑑別診断と治療法選択の根拠
鑑別診断とその根拠 頸椎 頸髄症とサルコイドーシス、多発性硬化症などの鑑別 頸椎症性脊髄症と脊髄サルコイドーシスの鑑別
大江 啓介
1
,
宮本 裕史
,
土井田 稔
,
鷲見 正敏
,
苅田 典生
1国立病院機構神戸医療センター 整形外科
キーワード:
Steroids
,
抗炎症剤
,
MRI
,
鑑別診断
,
脊髄疾患
,
サルコイドーシス
,
パルス療法(薬物療法)
,
頸椎症性脊髄症
Keyword:
Anti-Inflammatory Agents
,
Diagnosis, Differential
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Steroids
,
Sarcoidosis
,
Spinal Cord Diseases
,
Pulse Therapy, Drug
pp.2-8
発行日 2006年10月10日
Published Date 2006/10/10
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2007024919
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
脊髄サルコイドーシスと最終診断された4症例(男2例、女2例、41~59歳・平均53.5歳)の病態と画像所見を呈示し、脊髄サルコイドーシスと頸椎症性脊髄症(CSM)との鑑別及び治療方針について概説した。初診時全症例で進行性の脊髄症を呈し、治療前に全例に対しMRIを撮像したが、当初より脊髄サルコイドーシスを疑った3例にはGd-DTPA造影MRIを施行した。治療としてはCSMを疑った1例には片開き式頸部脊柱管拡大術(拡大術)を、CSMと神経筋疾患の合併を疑った2例には圧迫因子の除去目的で拡大術を施行した。全例にステロイドパルス療法を施行し、残る1例にはステロイドパルス療法のみを施行した。診断のポイントとしては腱反射・知覚障害・筋力低下など臨床所見とMRIなど画像所見の最狭窄高位との間の一致性がない場合はサルコイドーシスなど神経筋疾患を考慮する。サルコイドーシスの可能性が考慮された場合には胸部単純X線撮影・ACE・リゾチーム・ツベルクリン反応などのスクリーニング検査を行い、サルコイドーシスの可能性が高い場合は陽性所見を得る可能性の高い生検を施行して鑑別診断する。
©Nankodo Co., Ltd., 2006