発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013081446
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著者らの施設で人工膝関節全置換術を施行した92例100膝(男性21例、女性71例、年齢58~89歳、平均年齢75歳)を対象に、前向きにデータを収集して大腿骨コンポーネント回旋設置角度が術中の内側軟部組織解離量や術後屈曲ギャップバランスに与える影響について検討した。その結果、1)膝関節ROMは進展が術前の平均-8.6±6.4°から術後-1.0±3.1°になり、屈曲は術前の123.7±12.9°から術後120.8±11.9°となった。また、HSSスコアは術前平均57.9±8.3点から術後90.7±4.5点に有意に改善していた。2)術後CTAが3°未満のNR群は78膝、3°以上のIR群は22膝であり、術後平均CTAはそれぞれ0.9±1.5°・5.5±1.4°で、術前後のFTAは両群間に有意差はなかった。3)術中施行の内側解離量はNR群ではstep 1が36膝、step 2が8膝、step 3が16膝、step 4が18膝で、IR群ではそれぞれ5膝、2膝、5膝、10膝で、IR群の方がより広範な内側解離が行われていた。4)術後LOAはNR群1.2±2.1°、IR群3.2±3.3°とIR群が有意に大きく、屈曲ギャップの外側開きがみられた。以上より、CEAに平行な回旋設置によって過剰な内側解離を回避し、かつ良好な屈曲ギャップバランスが獲得できると考えられた。
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