発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012359093
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59歳女性。左小指の腫瘤と軽度の痛み、可動域制限を主訴とした。初診時、血液所見では炎症反応や凝固異常などは認めず、単純X線も異常所見はみられなかった。しかし、MRIでは左小指のMP関節近位~DIP関節レベルまでの屈筋腱周囲にT1強調画像にて低信号、T2強調画像にて高輝度の多発性病変がみられた。一方、病変はガドリニウム造影におけるT1強調画像では造影効果を認めず、脂肪抑制画像でも抑制されなかった。以上より、本症例は滑膜性血管腫や非定型抗酸菌症などの弱毒性感染などが疑われ、腫瘍切除術が施行された。その結果、病理組織学的にヘモジデリン沈着性滑膜炎と診断され、手術翌日より他動的ROM訓練を開始し、自動運動も許可した。目下、術後8ヵ月の時点で再発や疼痛は認められないが、PIP関節は伸展-30°、屈曲45°、DIP関節は伸展0°、屈曲45°と可動域制限がみられる。
©Nankodo Co., Ltd., 2012