発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012339629
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
72歳女。約30年前に関節リウマチ(RA)を発症し、現在もブシラミンとステロイドを投与しており、5年前に左人工股関節全置換術を、3年前に左大腿骨遠位部骨折に対し、骨接合術を施行していた。今回、1ヵ月前より徐々に歩行困難が出現し受診となった。初診時、立位困難、両手足変形を認め、上肢徒手筋力テストは3~4、腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋は2~3で、両手足にしびれと知覚鈍麻、両上下肢の腱反射亢進を認め、日整会頸髄症治療成績判定基準(JOAスコア)は8点であった。また、頸椎単純X線像およびCTで環軸椎亜脱臼、垂直脱臼、軸椎下亜脱臼を呈しているのを認め、MRI T2強調画像では脊髄内に高信号を認めた。RA頸椎病変による脊髄症の診断で、頸椎を前屈位として可及的に脱臼を整復し、C1椎弓切除術、C2~C7椎弓形成術、後頭・胸椎固定術を施行した。術後、O-C2角が13度から0度へ変化した。手術12時間後から、短期間の無呼吸状態を繰り返し、経皮的動脈酸素飽和度が一時的に低下した。頸椎の屈曲位固定による口咽頭腔の狭小化が原因と考え、再手術を行った。頸椎を術前のアライメントに戻し固定した。術後、症状は改善し、術後1年で室内歩行が可能となり、JOAスコアは10.5点である。
©Nankodo Co., Ltd., 2012