発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009159681
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症例は慢性腎不全のため33年の透析歴のある64歳男性で、破壊性脊柱関節症(DSA)による頸椎後方固定術、左手根管開放術、L3/4DSAとL2陳旧性圧迫骨折に対する後方固定術の既往がある。今回、誘因なく両下肢の違和感が出現、更に歩行困難が出現して再診となり、MRIにて胸椎病変を認め保存的治療を行ったが症状が増悪し、立位困難となったため入院となった。入院時、MMTでは腸腰筋の右優位低下と前脛骨筋の両側筋力低下と両側Th12レベル以下の知覚鈍麻を認め、透析患者での頸髄症JOAスコアは3/8点であり、画像所見からTh11レベルにおけるDSAによる胸髄症と診断した。Th11/12椎弓切除による除圧術を施行、術中所見では黄土色に肥厚した黄色靱帯を認め、Th11/12椎間関節は骨侵食性変化が強く異常可動性を認め、肥厚した黄色靱帯により硬膜は強く圧迫され癒着していた。固定は両側Th10~12のclaw hookと腰椎部のロッドをAxial Domino Connectorで連結し、固定性は良好であった。術後筋力は回復して立位可能となり、頸髄症JOAスコアは4/8点に改善し術後2年経過の現在、X線像上矯正損失は認めておらず、両下肢不全麻痺は改善し二本杖にて歩行可能である。
©Nankodo Co., Ltd., 2009