臨床室
両側大腿骨近位部骨折・左上腕骨顆上骨折を契機に発見された副甲状腺癌による原発性副甲状腺機能亢進症の1例
金子 達洋
1
,
高橋 育太郎
,
鴨居 史樹
,
貝沼 慎吾
,
裴 漢成
,
大口 怜央
,
服部 敏
1豊川市民病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
股関節部骨折
,
内固定法
,
骨ネイル
,
骨板
,
副甲状腺腫瘍
,
上腕骨骨折
,
大腿骨頸部骨折
,
X線CT
,
股関節置換術
,
Elcatonin
,
Alfacalcidol
,
副甲状腺機能亢進症-原発性
Keyword:
Bone Nails
,
Bone Plates
,
Femoral Neck Fractures
,
Fracture Fixation, Internal
,
Humeral Fractures
,
Hip Fractures
,
Parathyroid Neoplasms
,
Radiography
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Arthroplasty, Replacement, Hip
,
Hyperparathyroidism, Primary
,
Alfacalcidol
,
Elcatonin
pp.54-57
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014169997
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症例は38歳男性で、階段より転落し、両股関節痛、左肘関節痛、歩行困難を生じ、救急搬送となった。初診時単純X線では両側大腿骨近位部骨折、左上腕骨顆上骨折を認めた。血液検査では原発性副甲状腺機能亢進症(pHPT)が疑われ、全身検索にて副甲状腺の腫瘍または過形成によるpHPTが示唆された。入院7日後に両大腿をガンマネイル、左上腕をONIトランスコンディラープレートを用いた骨接合術を施行した。入院40日目に左副甲状腺摘出術(PTX)と甲状腺左葉切除術が行われ、病理組織学的に筋層への細胞浸潤を伴った副甲状腺癌と診断された。BMDは入院直後には、若年成人平均値との比較割合(YAM比)61%であったが、PTXおよびカルシウム製剤投与により徐々に上昇し、PTXから9ヵ月で79%まで回復したため、偽関節となった左股関節に対し近位固定型セメントレス人工股関節全置換術(THA)を施行した。THA後3ヵ月で杖歩行可能となり自宅退院し、THA後6ヵ月の時点でBMDはYAM比88%まで上昇した。
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