発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013350490
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50歳代女。約15年前に右乳癌に対し乳房切除術、術後補助療法を受けた。発症6年後に多発骨転移と診断され、胸腰椎・左腸骨・右大腿骨近位部への放射線治療を受け、ゾレドロン酸水和物の投与を6年間継続した。しかし、徐々に右大腿骨近位部痛が増強し、同部への放射線再照射およびデノスマブの投与を6ヵ月にわたって受けたが疼痛コントロールは困難であった。疼痛緩和を目的に塩化ストロンチウム-89(89Sr)を投与したが、6日後に突然右大腿近位部の疼痛が増強した。右股関節に強い自発痛を認め、立位・歩行は困難であった。単純X線像では右大腿骨転子下に不全骨折を認めた。89Sr投与後15日目に腰椎麻酔下に骨接合術を施行した。骨折部には89Srの集積が予想され、術中飛散した骨片の吸入による内部被曝を避けるため、二重のマスクとガウンテクニックを施行した。疼痛は軽減し、杖歩行可能となり、通院加療を継続している。
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