発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011226898
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症例は29歳女性で、友人に左母指を強く押され、左母指が屈曲したまま伸びなくなり受診した。左母指は中手指節(MP)関節90°屈曲位で固定され、伸展不可能であった。MP関節には圧痛を認めず、指節間(IP)関節の可動性は保たれ、母指に知覚障害は認めなかった。健側のMP関節の可動域(ROM)は伸展10°、屈曲50°であった。単純X線で明らかな骨傷は認めず、側面像において基節骨は中手骨頭関節面を掌側に越えて固定されていた。正面像では中手骨に対し基節骨はやや橈屈していた。骨棘など関節面に異常はなかった。母指MP関節ロッキングの可能性を考え、指神経ブロック下に整復を試み、牽引しながらゆっくり伸展していくと、礫音と共に比較的容易に整復され、整復直後にMP関節の自動屈伸運動が可能になった。整復後、単純X線で骨折を認めず、良好な整復位となっていた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011