発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011226897
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症例は17歳男子で水泳選手で競技後に右肩痛が出現し、症状の改善はみられず受診した。右肩関節変形、腫脹、熱感、発赤はなかった。可動域(ROM)制限はみられず、脱臼不安感テストで不安定性はみられなかった。また、下垂位外転・外旋の等尺性筋力は健側に比べ、低下していた。インピンジメント徴候陰性、肩関節の屈曲、外転、内転、外旋、内旋でクリック徴候を伴う痛みが誘発された。初診時のJOAスコアは92/100(疼痛25、機能19、ROM28、X線所見5、関節安定性15点)、JOAスポーツスコアは29/100(選手能力10、疼痛10、筋力5、ROM4)点であった。単純X線で明らかな異常所見はみられなかった。MRIでは関節包下方に液体貯留があり、内部にT2強調像、T2脂肪抑制画像で共に低信号を示す結節状陰影がみられた。また、関節包下方にT2強調像冠状断で高信号域を呈する関節包の肥厚像がみられたが関節唇や腱板に明らかな異常はみられなかった。臨床及び画像所見より肩関節内遊離軟骨を疑い、関節鏡視下遊離体摘出術を施行した。関節鏡視下所見、病理所見より色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)と診断した。後療法は術後3日目より自動ROM訓練を行い15日目より徐々にスポーツ復帰を許可した。術直後よりクリック徴候は消失した。
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