発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011125720
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57歳女。ウニを右手で受け取った際に受傷し、中指痛と腫脹が持続したため蜂巣炎の診断で抗生物質とステロイド投与を受け、症状は軽減したが、治癒には至らなかった。受傷約1ヵ月後の当科受診時、右中指に腫脹・圧痛があり、X線側面像で中指PIP関節近位掌側と基節骨に接近した部位に針状陰影を認めた。CTでは基節骨と屈筋腱の間および屈筋腱鞘表層の2ヶ所に不透過陰影を認め、MRIでは中指屈筋腱周囲にT1強調画像で低輝度、T2強調画像で高輝度の陰影を認めた。患者希望により異物摘出術を延期し経過観察していたが、以後も症状が持続したため受傷後6ヵ月に異物摘出術を行った。病理組織学的所見でウニ刺断面は放射状で、その周囲は炎症細胞の混在した繊維結合組織で囲まれていた。術直後より可動域訓練を開始し、術後10ヵ月で中指の運動痛やROM制限はなく、日常生活に支障は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011