発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011103826
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58歳女。4歳時にポリオに罹患し、四肢体幹に麻痺を後遺して関節固定術、腱延長術を受けており、また右足関節骨折などの既往もあった。今回、自宅で転倒して左膝を強打し、MRI所見より大腿骨遠位の関節内骨折と診断された。左下肢を膝関節軽度屈曲位でシリンダーキャスト固定し、受傷1週後より部分荷重、受傷4週後より膝装具装着で歩行訓練を開始したが、左膝関節の不安定感のため独歩不能であった。受傷後13週の身体所見および運動機能より、左膝関節伸展位での荷重が安定すれば歩行能力再獲得が可能と考え、左膝関節可動域訓練、両下肢筋力増強訓練、左下肢の荷重に連続した右下肢の振り出し動作時のバランス訓練を中心とした運動療法を開始した。また、装具療法として軽量な軟性装具を処方した。3ヵ月間の訓練で歩行能力は向上し、受傷後6ヵ月時にT字杖で20mの平地歩行が可能となり、受傷前とほぼ同等の屋内歩行自立レベルを達成できた。Barthel指数は入院時30点から退院時55点へ、FIMは運動37点から64点へ改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011