発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011044269
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73歳男。糖尿病性腎症による慢性腎不全で血液透析を開始していたが、下肢懐疽のため右下腿切断術および左大腿切除を受けていた。血液浄化状態が不良となり、当院内科にて血液透析を開始した。左上腕遠位にシャントが造設されており、左手の壊疽、潰瘍を認めた。透析中に血圧低下を繰り返した。壊疽治療のため当科紹介受診となった。左手母指から環指にかけて炭化し、手背から左前腕遠位に壊死潰瘍病変を認めた。左前腕の腫脹、前腕周囲径の左右差、左前腕遠位の閉鎖したシャント痕を認め、左肘関節屈側に内シャントが造設されていた。また、糖尿病性腎不全による腎機能障害と腎性貧血、電解質異常を認めた。左上肢の保存的治療、血行再建は不可能であったため、左上肢の切断術を施行した。術後は左上肢断端部は良好に治癒し、透析方法を腹膜透析に変更した。心血管系への負荷も軽減し血圧も安定し、術後61日目に退院した。現在は自宅で腹膜透析と定期的な通院が可能となり、生活の質は改善した。
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